預言者ムハンマドの誕生と養育(3)
「私たちが使徒と共にいるとき、私の家畜はあり余るほどの乳を出していました。私たちが乳を搾り、飲んでいるというのに、ほかの人たちは一滴も飲めず、彼らの家畜の乳房からは一切乳が出なかったので、人びとは自分たちの羊飼いに、『なさけない、アブー・ズアイブの娘たちの羊飼いが放牧するところに群れを連れて行きなさい』と言っていました。それでも、彼らの群れは腹をすかせて帰り、乳を一滴も出さず、私の群れはたくさん出していました。私たちは、使徒が乳離れするまで二年間、このお恵みが神のおかげであることを自覚しない日はありませんでした。彼は、ほかの誰よりも早く成長し、二歳のころには立派な子供になりました。彼が私たちに与えてくれた祝福のために、私たちは彼を引き止めておくことを切望していましたが、私たちは彼を母親のところに連れていきました。私は彼女に、『マッカの疫病が恐ろしいので、彼が大きな少年に育つまで育てさせてほしい』と言いました。私たちは、彼女が彼を私たちに返すまで、譲りませんでした」。
「私たちが帰ってきて何ヶ月かたったころ、彼と乳兄弟が天幕の裏で子羊といるとき、息子が走ってきて私たちに、『白装束の男二人が、クライシュの兄弟を捕まえて、引き倒し、彼のお腹を開けてかき回しているよ』と叫びました。私たちが駆けつけると、使徒は顔面を蒼白にして立っていました。私たちは彼を抱いて、『どうしたの』と聞きました。すると彼は、『白い服を着た二人の男が来て、僕を引き倒してお腹を開けて、何かわからないものを探していたよ』と答えました。そこで私たちは、彼を天幕の中に入れました」。
「夫は、『この子は発作に見舞われたようだ。だから、はっきりしないうちに母親のところに帰そう』と私に言いました。私たちが彼を母親のもとに連れていくと、彼女は、『我が子の幸せを願い、一緒にいることをあんなに切望していたのに、どうして帰ってきたのですか』と尋ねました。私は、『神はこれまで息子を生きさせ、私は義務を果たしました。私は病が彼に降りかかるのではないかと心配になり、あなたが望んだように彼をあなたのもとに連れ帰りました』と彼女に言いました。彼女は、『何が起きたのか』と私に尋ね、私がそれを話すまで説得し続けました。『物の怪が彼にとりついたと恐れているのですか』と彼女が聞いたとき、私は『それを恐れている』と答えました。すると彼女は、『前途に偉大な未来が開かれている彼には、どのような魔物もとりつくことができない』と答え、彼を身ごもっていたとき、どのようにして彼女から光が輝き出てシリアのブスラーの城を照らし、また、およそ想像できないほどの軽い痛みで彼を生んだことについて語りました。使徒が生まれた時、彼は両手を大地につけ、顔を天に向けて上げていました。『それならば彼をおいて安心してお帰りなさい』と彼女は私に言いました」。
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