2012年6月1日金曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(20)

アダムまでさかのぼる神の使徒ムハンマドの伝記


慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において

万有の主、アッラーに讃えあれ

神の使徒、我らがムハンマドと、彼の家族のすべてに、神の恩寵がありますように

 聖典コーラン三三章五六節の、「神と神の天使たちは預言者を祝福される。おお、汝ら信仰する者たちよ、預言者を祝福し、彼の平安を祈願せよ」、という戒めを守り、ムスリムは、預言者に言及するとき必ず、「彼に祝福と平安あれ」(サッラッラーホ・アライヒ・ワ・サッラム)、と祈りの言葉を述べる。本書ではあまりに頻繁に預言者に言及するため、この祈りの言葉は省略させて頂いた。神のお赦しがあらんことを。

 文法家、アブー・ムハンマド・アブドゥルマリク・イブン・ヒシャームは、次のように伝えている

 イブン・イスハークのスィーラ(預言者伝)は、イブン・ヒシャームによる校訂本としてしか現存しない。そこでこのような書き出しとなっている。

 これは、神の使徒の伝記である。

 アーダムの息子のシィース、シィースの息子のヤーニシュ、その息子のカイナン、その息子のマハリール、その息子のヤルド、その息子のアフヌーホ(神のみがご存知であることであるが、彼は、アーダムの息子たちのうちで最初に神から預言と読み書きの能力を授かった預言者、イドリースと思われる)、その息子のマットゥーシャラハ、その息子のラムク、その息子のヌーホ、その息子のサハム、その息子のアルファクシャズ、その息子のシャーリフ、その息子のアイバル、その息子のファーリフ、その息子のラーウー、その息子のサールーグ、その息子のナーホール、その息子のターリフ(またの名をアザル)、その息子で、慈悲深い神の友イブラヒーム、その息子のイスマイール、その息子のナービト、その息子のヤシュジュブ、その息子のヤアルブ、その息子のタイラハ、その息子のナーホール、その息子のムカウワム、その息子のウッドゥ(またの名をウダド)、その息子のアドナーン、その息子のマアッド、その息子のニザール、その息子のムダル、その息子のイルヤース、その息子のムドゥリカ(またの名をアーミル)、その息子のホザーイマ、その息子のキナーナ、その息子のアンナドゥル、その息子のマーリク、その息子のフィフル、その息子のガーリブ、その息子のルアイイ、その息子のカアブ、その息子のムッラ、その息子のキラーブ、その息子のクサイイ(またの名をザイド)、その息子のアブド・マナーフ(またの名をアルムギーラ)、その息子のハーシム(またの名をアムル)、その息子のアブドゥル・ムッタリブ(またの名をシャイバ)、その息子のアブドッラーの息子こそが、神の使徒、ムハンマドである。

 アラブの伝承ではイスマイール(イシュマエル)をアラブ人の始祖とする。したがって、アーダム(アダム)、シィース(セト)、サハム(セム)などから、ナービト(ネバヨト)までの名前は、聖書に対応している。福音書(マタイ、ルカ)も、救世主の系譜をアダムにまでさかのぼらせている。伝承によれば、預言者自身は、自分の系譜を語る時、アドナーンより以前にはさかのぼらなかったという。

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